主な熱処理材料 (JIS鉄鋼材料)
鋼種 主な材料 特徴 主な熱処理
普通鋼 一般構造用
圧延鋼
SS41,SPHC,SPCC 炭素量は低く、引張強度が最低限規定されているだけ。自動車部品など表面硬化熱処理を施して使用する場合もある。 浸炭窒化
ガス軟窒化
炭素鋼 機械構造用
炭素鋼
S10C〜S60C 炭素含有量が0.08〜0.61%の鋼材
焼ならし
焼入焼戻し(調質)
高周波
浸炭
合金鋼 機械構造用合金鋼 SNC(ニッケルクロム鋼)
SNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼)
SCr(クロム鋼)
SCM(クロムモリブデン鋼)など
焼入性を炭素鋼より高めるため、ボロン、マンガン、ニッケル、クロム、モリブデンを添加。
低炭素(0.12〜0.23%)は浸炭用。
高炭素(0.25〜0.48%)は焼入焼戻し。
焼入焼戻し
浸炭
工具鋼 炭素工具鋼鋼 SK1〜SK5 炭素量0.6〜1.5%
0.6%C以下ではC%に焼入硬さが比例したが、0.6%C以上では硬さはほとん同じで、耐摩耗性と耐衝撃性のみが変化する
焼入焼戻し
合金工具鋼鋼 SKS,SKD 切削工具用、耐衝撃工具用、冷間金型用、熱間金型用がある。 焼入焼戻し
高速度工具鋼鋼 SKH ハイスと呼ばれる重切削、高速切削用の工具鋼材。タングステン系とモリブデン系に大別される。
熱処理は炭化物を固溶させ、1250℃〜1300℃から油冷する。
真空熱処理
特殊用鋼 ばね鋼 SUP3〜SUP11 ばねに要求される特性(へたらないこと、疲労強度が高いこと)を満たす材料。 焼入焼戻し
軸受用鋼 SUJ2〜SUJ5 ベアリング鋼と呼ばれる耐摩耗性が大きい高炭素高クロム鋼材。 焼入焼戻し
浸炭
ステンレス鋼 SUS*** オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系およびオーステナイト・フェライト系の5種類がある。
  1. オーステナイト系=SUSU304に代表される。非磁性。耐食性、加工性に優れる。高温にも強く耐熱鋼としても使用される。焼入硬化性はないが、1010℃〜1150℃固溶化熱処理によって耐食性を確保。 
  2. フェライト系=SUSU430に代表される。耐酸化性に優れ、値段も安く、溶接性もよいのでプラントなどに多く使用。耐食性確保のため680℃〜850℃で焼なましする。
  3. マルテンサイト系=SUSU420J2,SUS440に代表される。耐食性と強度が得られる。高炭素量のものは耐摩耗性にも富み、刃物や工具に用いられる。クロム炭化物の固溶を考え1010℃〜1070℃の高い温度で焼入れる。
  4. 析出硬化系=SUS630に代表される。マルテンサイト系よりさらに強度を要する場合、1000℃〜1100℃で固溶化熱処理を行った後、析出硬化熱処理を行う。
真空熱処理
鋳鉄 ねずみ鋳鉄 FC10〜FC25
FC30,35
鋳鉄は2%以上の炭素を含有し、その他珪素、マンガン、りん、硫黄などの成分も含まれる。
引張強さ30kgf/mm2以下のもの普通鋳鉄、以上のものを強じん鋳鉄という。
応力除去
焼入焼戻し
高周波
窒化
球状黒鉛鋳鉄 FCD マグネシウムを添加することで黒鉛を球状化させ、鋼に近いじん性を得ている。
さらにオーステンパを施せばさらに強度、じん性をあげることができる。
オーステンパ
非鉄金属 アルミニウム合金 比重が鉄の約1/3という軽量で加工も容易。
ジュラルミンとよばれる高強度合金や、耐食耐熱性を向上させたものがある。
時効処理
チタン合金 鉄の60%の比重で強度が高く、比強度(耐力/密度)は金属の中で最も高い。 時効処理
参考文献:
宮永文吾・鈴木健司「熱処理技術の選択」(1994.地人書館)
大和久重雄「鉄鋼材料選択のポイント」(1994.日本規格協会)
日本熱処理技術協会「熱処理技術入門」(1997.大河出版)
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